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半田ごての人。紙と鉛筆だけではちょっと。

新型コロナ(covid-19)。八割というのをシミュレーション。

もともとの引き籠り体質と、田舎に引っ越した事もあって、自粛するまでもなくstay homeな毎日。足腰がボケて来るので、雪も消えた山道を少しばかり熊に警戒しつつ、そろそろコブシが咲くのではと天気の良い日には散歩するゴクツブシな毎日。都会に住んでいたならば、分け入っても分け入ってもコロナなこのご時世では、外出もままならず。

 

時間だけはそこそこあるので、ふと見つけたHPのコロナの感染者推移の予測、というシミュレーションをやってみる。

http://www.ims.tsukuba.ac.jp/~nakamura_lab/

七割とか八割減らすと言っている例のヤツ。これはちよっと取っ付きにくいけれど、中身としては単純で、エクセルがあれば簡単に視覚化ができる。数字の話だから、医者でなくとも科学の範疇。

 

コロナの感染とは、突き詰めると借金の返済。今現在の保菌者が借りている額。ニュースで出て来る感染確認者というのは、基本的には隔離した数と同義なので、新たな感染を生むものではない。そうでなければならないのだが、現実社会では自宅療養がかなりの数なので、家庭内感染などで新たな未確認の感染者を生んでいる。シミュレーションでは、生まないものと仮定する。

 

隔離されずに市中に残っている保菌者が、新たな感染者を作り出す。この新たな感染者は、利息と考えられる。元本が大きいと勿論利息もデカい。元本と利率に左右される。元本が返済と共に減るように、感染確認で隔離すると、これが返済額に相当。つまり、元本、利息、返済額、この三つが完済までの時間を決定する。完済とは、感染者ゼロ。

 

少しややこしいのが、元本。感染確認者ではなくて、まだ市中に残っている未確認の感染者が元本。新たな利息、つまりは新たな感染者は、そこから生まれるので道理。利息と返済額は、特に難しくない。後は、返済は複利となるので、指数で計算すれば良いという話。

 

まずは元本。これは原理的に正確な数字は分からない。何と言っても、未確認の感染者なので、数が分かるはずはない。検査の捕捉率から類推するしかない。例えば、こういう所から。

https://beat-the-corona.tokyo/?p=290

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4/1の確認感染者は、2565。もしも100%の捕捉率であれば、市中に感染者はいないが、それはありえない。この時点では、まだ検査能力に余裕があったようで、そこそこ捉えられていたのでないかと思う。なのでひとまず、50%と仮定すると、市中感染者は2565。ここから新たな未確認感染者が生まれる。この数字は初期値なので、実はそんなに気にする必要はない。ひとまず、2565。

 

少し捕捉すると、三月中頃までの陽性率は10%に届かない。中頃を境に増え始め、今は東京では40%を超える時もあるとか。一般論として、低い間はそこそこ捕捉出来ている。20%を超えると危ないが、日本では最初に見当をつけているので、40%ぐらいが危険水域かも。あくまでも推測。 

 

次に返済額は、0.1。これは暫定。これは元本の一割を毎日返しますと言う話。HPの筑波大の教授も、ひとまずこの値を使っている。これは、新たな感染者が感染確認されて隔離されるまでに、大雑把には十日かかるという意味。その十日の間に、新たな感染者を生み出す。複利なので十日ではゼロにならないのだけど。仮に1000人の感染者がいたとして、利息がゼロとするならば、最初の日に感染者は900に減る。次の日には、810。そういう按配。

 

最後に利息。コロナ金融は、帝国金融よりも遥かに高く、完全に法定利息を超えている。大雑把には、七日で十割。3/25から4/1、4/1から4/8でだいたい二倍になっている。捕捉率がほぼ一定と仮定すると、一日当り一割ぐらいの利息になる。1.1^7≒2なので。「といち」なんかへのカッパの「なっとう」。七日で十割。

 

しかし、4/8から4/15では二倍になっていない。これは新規感染が減ったというよりも、検査の捕捉がもう不可能になりつつあると考えた方が良いと思う。山よりデカい猪はいない、というように、検査数よりもデカい感染確認はあり得ないので。でもまずは4/18の10414との整合性を考えて、感染率は0.086にした。こうすると、4/1を初期値として、4/18にだいたいこの数字になるので。利息は、これに返済額を足した0.186。

0.186(利息)-0.1(返済額)=0.086(増加率)という計算。

これでひとまずの数字が揃った。元本は2565、利息は0.186、返済額は0.1。

 

筑波大の先生のpdfに、ちょっと難しい計算式は出ている。簡単には、でも同じ結果になる方法論は、上に書いた通りの借金返済。複利計算なので数式上は、ちょっとややこしくなる。そういう時は、エクセルを使う。表計算は知らないうちに複利になっているから、最初の日の計算を借金返済として計算し、その後は、それをドラッグして行と列を自動インクリメントすれば良い。

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C11が未確認感染者2565から新たに生まれる477。D11が隔離して消えて行く感染者で、返済額の257。その差が4/1のF10の2565に足されて、4/2にはF11の2786。後は同じことの繰り返しで、自動的に複利計算になる。4/18は10428で、実際の10414に近くなるように、利息と返済額を設定した。

 

隣は接触機会を八割減らした場合。これは利息の0.186が20%の0.0372に減ったのと同じ。返済額はそのまま。結果として利息以上の返済額となるから、元本である未確認感染者は減っていく。このままでは些か視認性に欠けるので、六割減の場合も一緒にグラフにするとこう。N0が元本、kが利息で、k'が返済額。

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この例では、六割削減でも少しは減る傾向になる。八割減ならば、4/1からの返済計画ではあるけれど、4/30には391になる。接触機会を減らせば利息である感染率が下がり、市中の未確認感染者も減る。八割に効果があるのは疑う余地なし。kとk'の二つの値が、死命を制する。

そこで、とてもとても重要な事実が判明する。未確認感染者は、N=N0exp(k-k')tで表される。何故に数式が必要かと言えば、物事の本質を好き嫌いとかの先入観を抜きにして考えるため。結果だけならば、上記のエクセルで出せるから数式は不要。この数式は、kとk'が等価であると教えてくれる。上のグラフでは、kを変えてみた。kとk'の等価とは、「同じ事がk'を変えても出来ますよ」と言う意味。

 

考えてみれば当たり前。k'は返済額だから、利息そのままで返済を増やすと、元本は早く消える。この当たり前の事実は、意外と盲点で中々気づかない。返済額を増やせとは、未確認感染者を十日ではなくて七日だとか五日で見つけて隔離しろ、という意味。十日が七日になると、接触機会は減るのだから当然の話。でもこれって、数式見ないと思いつかないのよね。実際、接触機会云々は聞くけれど、具体的数字で十日と七日は違うぞ、早く隔離しろ、という話は聞かない。等価だから、同じ効果があるのに。

 

という訳で、シミュレーションは赤子の手をひねるようなものだから、すぐに出来る。今は十日になっているのを、五日と七日にして試す。利息は同じなので、五日にしても増加分は同じで477。返済額が大きく違ってくるので、五日の場合は元本が減っていく。接触機会が変わらなくても、隔離までの日数が半分になると、未確認感染者は減っていく。

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七日にした場合も含めてグラフにするとこう。七日では元本は減らないけれど、十日よりはずっと増加の程度が減る。五日ならば、いずれはゼロになる。

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そこで最後に、検査数の制約で飽和しているだろう感染確認の数を考慮した定数で、もう少し実際に即したシミュレーション。七日で二倍のペースが変わらないと仮定すると、利息のkは0.2になる。この値で計算するとこれ。

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何も対策しない場合の青は当然ながらかなり大きくなる。4/30で28000ぐらい。接触を減らした緑や赤は、それなりに機能する。隔離に要する日数を減らした場合も似た傾向。最後の黒は、良いとこ取り。接触機会は三割だけの削減で、隔離に要する日数も七日にする。これは現状からの三割減なので、どちらもそれ程の無理がない。しかし元本を減らせるのでとても有用。

 

接触機会の削減とは、中国の武漢封鎖。隔離に要する時間の短縮は、IT駆使の 韓国流。どちらも成功例。シミュレーション的に、頷ける結果。ならば、両刀遣いしましょう、が結論。隔離にかかる日数を減らす、つまりは早期発見。接触機会も減らすけれど、三割程度でも目途はつく。三割とは、経済活動維持しつつという意味なので、その成否は早期発見にあり。数式は嘘言わない。コロナは数式の世界の住人。コロナ退治は数式にあり。

 

 

 

 

 

 

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