デジタルオーディオあれこれ

半田ごての人。紙と鉛筆だけではちょっと。

せっかくなんでパッシブプローブも。

 スペアナと言うかFFTで1MHzぐらいまで確認できると、やっぱり音声用途でも嬉しい。オシロスコープに付いているFFTはグリコのオマケにしかなってないけれど、専用のハードウエア(MDO3000シリーズ)が入っているのはバカにならなくて結構使える。音声用のADC程のTHD特性はないとしても、DSMの帯域外ノイズを見るのなら問題なし。

 

 アクティブプローブは、さすがにちょっとノイズ特性が悪い。1.5GHZ帯域なんで仕方ないんでしょう。50オームのパッシブが低レベルであれば使えるので、せっかくだから次数の違いでの帯域外ノイズの変化を見てみる。

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 これだと128OSRで零点が256kHzに動いたのも分かる。デジタルフィルターなのでサンプリングに合わせて特性が変わる。FFTのSFDRが60dBぐらいなので、THDもその位になっている。これは測定系の制約なので、実際はもっと良い。64OSRにするとこう。

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 零点が128kHzに移る。アナログフィルター(6dB/oct)の効きが少し悪くなるので、全体として少し悪くなる。零点が動くのがデジタルフィルターの強み。4th orderの64OSRには、ちゃんと使い道がある。32OSRとか16OSRにも。このDACは元々マルチシステム用なので、普段は1024tapFIRのXoverが入っている。ローチャン用は、1.5kHzカットオフとか。

 

 なので、1.5kHzまでしか使わないのであれば、20kHzの1/8の16OSRでも問題はないという寸法。アナログのLPFなんぞを使っていると、そうは問屋が卸さない。かなりデカいCが必要になってくる。デジタルフィルターはアナログFIRであっても、零点がサンプリング周波数に連動して落ちて来るので、等価的には128OSRと同じ特性になる。変える必要があるのは、6dB/octの所だけ。

 

 OSRが下がるとSNは上がって来るので、高能率の中音のホーンなどでかなり有利になる。他にも、高能率のホーン対策として一気に10dB近くSNを上げる手もあるので、SNで不利になる1bitDSMの問題はほとんどなくなる。ホーン用としては、32OSRぐらいと思うけど、アナログFIR様様。マルチシステムが基本だから、DACはネジクギとして数を用意し、スピーカーの効率とか帯域に合わせての調整が必須。

 

 七次と八次はこれ。次数を上げるのは、単に量子化ノイズの分布を変えているだけなので、帯域内での効果がアナログ的要因で制約されるのであれば、帯域内でのSNは四次と同じで、対域外でのノイズはかなり大きくなる。次数の意味をしかと考えるのであれば、当然の結果。中々、実物で試さない限り、次数信仰から自由には成れないけど。

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 結局の所、アナログFIRで24以上のタップを確保するのであれば、四次が最善の選択になる。山高ければ貴からず、DSMの次数も同じ。意味を考えて、個別の状況に応じて調整が必要。